Yeezy 350

350

Yeezy 350が初めてドロップされたのは2015年、バレンタインデーに開催されたニューヨーク・ファッション・ウィークでのYeezyの初回ショーだった。このデザインはすぐにビッグアップルのファッションシーンに興奮を巻き起こした。このショーはNBAオールスターゲームとも連動していたため、人々は350について話題にし、最終的にはこれまでのどのファッション・リリースよりもこのシューズへの関心を高めた。そして、Yeezyの時代が幕を開けた。

350は同年6月、ブラックとグレーの "Turtledove "カラーで正式にリリースされ、ストリートウェアブランド、オフホワイトの創設者ヴァージル・アブローとバレンシアガのクリエイティブ・ディレクター、デムナ・ヴァザリアがデザインコンサルティングを担当した。プライムニットのアッパーに、同素材・同色のハイキング・スタイルのシューレースをあしらったシンプルなデザイン。その下には、Boostのミッドソールがシームレスにシューズに溶け込み、あたかも1つのユニットであるかのような錯覚を起こさせる。唯一無二のデザインで、時代を定義するシューズを作ることが目的だった。

2015年後半、フットウェア・ニュース主催の第29回アチーブメント・アワードでBoost 350の成功は頂点に達し、シューズ・オブ・ザ・イヤーを受賞した。その限定リリースは、ハイプと欲望の連鎖をもたらし、リセールバリューを押し上げ、このシューズは非常に貴重でエクスクルーシブなアイテムとなった。

ヴァージル・アブローのもとでジュゼッペ・ザノッティの指導を受けながらシューズのデザインを学んでいた頃、彼は大人気のナイキ・ロッシェの自分バージョンを作るという野心的な目標を掲げた。さらに彼は、Rosheに取って代わりたいとまで明言した。これにより、Yeezy 350は快適でスタイリッシュなライフスタイルシューズとして、明確なコンセプトの下地を持つことになった。しかし、カニエが350を広く親しまれるスニーカーに近づけたのは、V2がリリースされてからだった。

V2では、より質感の高い、伸縮性のあるアッパーを採用し、ソックスのような履き心地を実現。まず、"Saint Pablo Loves You "の頭文字をとった "SPLY-350 "というテキストを、デジタルフォントでシューズのサイドに織り込んだ。また、合成繊維のモノフィラメントで作られた片側の細いギザギザのストライプで通気性を加えたり、ミッドソールを大きくして半透明にするなど、新鮮なスタイル要素も加えた。また、オリジナルの「ベルーガ」カラーは、鮮やかな色彩をもたらし、オレンジのアクセントが、中間色のガンメタルと融合して、クラシックなスニーカーを生み出した。それ以来、V2は、膨大な数のカラーウェイとバージョンが生産されたおかげで、Yeezyのシルエットの中で最も認知度の高いものとなった。これらのデザインの中でも特に目立ったのは、2018年に発売されたトリプルホワイトのカラーリングで、100万足以上発売され、より多くの人々の間でシューズの人気が高まった。

Yeezy Boost 350は、カニエ・ウェストをファッションデザイナーに押し上げたシューズだ。彼はセレブリティとのコラボレーションのルールを塗り替え、彼自身が尊敬されるクリエイターとなった。Yeezy 350は何か特別なことを成し遂げてきた。ファンは新しいカラーリングのリリースを心待ちにし、デザインにまつわる話題性は相変わらず高い。今日まで続く熱狂は、350が史上最も重要なスニーカーのひとつであることを裏付けている。