New Balance 1906

1906

ニューバランスの1000シリーズには高品質なランニングシューズが数多く登場したが、その中でも特に評価が高かったのが1906だ。2009年に発売され、創業年にちなんで命名されたこのモデルは、プレミアムランナーとして発表されたが、必ずしもファッショナブルとはみなされなかった。しかし、2020年代になると、状況は一変し、ニューバランス1906は復活を遂げようとしていた。

その上品なY2Kの美学とハイテクコンポーネントを備えた1906は、2020年代初頭に本格化したノームコアファッションのトレンドに完璧にフィットした。2022年にニューバランス1906Rとして再リリースされ、オリジナルモデルと同じアッパーと新しいソールユニットが採用された。

通気性の良いメッシュとスエードまたはレザーのオーバーレイがシューズのアッパーを形成し、TPUケージがヒールを保護し、革新的なNロック・レーシングシステムが優れたロックダウンを提供し、クラシックなブランド効果がシューズのファッショナブルなY2Kルックを維持した。ソールユニットは、860v2モデルをベースに、軽量クッショニングのアクテバライトフォームと、衝撃吸収性のN-ergyゲル、ヒールのABZORB SBSポッドを採用。一方、中足部にはスタビリティウェブがサポートし、アウトソールには耐久性に優れたトラクションを発揮するNduranceラバーを採用した。

1906Rのリリースを盛り上げるために、ニューバランスは韓国のファッションレーベルthisisneverthatを起用した。彼らはスタイリッシュなヴィンテージ風のスニーカーを制作し、ブランドは「90年代のランニングスタイルを現代に」と表現した。

この発売は大成功を収め、アジアのアパレルブランド、インヴィンシブル（INVINCIBLE）とN.フーリーウッド（N.HOOLYWOOD）のダイナミックなペアを含む、より多くのコラボレーション・パートナーが参加し、それぞれの特徴的なカラーリングを生み出した。その後数年間、1906Rは最も人気の高いニューバランスとのコラボレーションのいくつかに参加し、東京を拠点とするレーベル「AURALEE」、アメリカのラッパー「アクション・ブロンソン」、デンマークのファッションハウス「GANNI」とのコラボは特に人気があった。実際、テイラー・スウィフトがGANNIの1906R「Egret」を履いているのをよく見かけ、このモデルはさらに高い評価を得た。

この間、ニューバランス1906Rは、さまざまなバリエーションに生まれ変わった。先見の明のあるデザイナー、ユエ・ウーの1906Dと1906Aは、オリジナルのスニーカーを独自に解体したものであり、頑丈な1906Uは、多くの魅力的なコラボレーションに関わった。そして、セミフォーマルなペニーローファーのデザインで流行した1906L、軽量で縫い目のないアッパーがニューバランスのアーカイブにあるミリタリー風のシルエットをベースにしたダイナミックな1906Wがあった。

ニューバランス1906は常にその高品質な作りと抜群の履き心地で有名だったが、2022年に1906Rとして復活するまで、スタイリッシュなファッションアイテムとして認知されることはなかった。それ以来、スニーカー愛好家からカジュアルファンまで幅広い層にアピールするため、常に新たな進化を遂げ、現在最も愛されているシルエットのひとつとなっている。